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原点の夏-井上哲士さんのメルマガから

 井上哲士です。

 八月もあとわずか。秋のように涼しかった昨日でしたが今日は暑さが戻りました。それでも確実に夏が過ぎようとしています。いかがお過ごしですか。
 福島原発の大事故の被害を目の当たりにし、国会でも原発徹底を求めて政府をただす中で迎えたこの夏。今年の夏は、自分の原点を見つめなおそうと決めていました。
 そんな私の思いと一緒だったのが、八月九日に田上長崎市長が読み上げた長崎平和宣言の「『ノーモア・ヒバクシャ』を訴えてきた被爆国の私たちが、どうして再び放射能の恐怖に脅えることになってしまったのでしょうか」という一節でした。

 そんな思いを持ちながらこの夏、八月六日の広島平和祈念式典に参列し、長崎で原爆病院や原爆老人ホームを訪問。十九日には、再上映運動が行われている映画「ひろしま」を渋谷の映画館で鑑賞しました。一九五三年製作のこの映画。原作は文集「原爆の子」です。広島の市民ら九万人近くが出演し、被爆直後の惨状を再現しています。その舞台の一つが、私の母校、広島国泰寺高校の前身の広島一中です。高校一年の時に学校の集団鑑賞でこの映画を見た時、昔話だった原爆が現実のものとして迫ってきました。先輩たちが、崩れた校舎の下敷きになり、声をかけあいながらも亡くなっていく様子、私たちが愛唱していた応援歌である当時の校歌「鯉城の夕べ」をうたって励ましあう姿、人間の姿で死ぬことすらできなかった無念――「なぜこんなことが許されたのか」「理不尽なことには決して屈せず、立ち向かう生き方をしよう」 ――十六の夏にこう誓いました。ぜひもう一度あの映画を見たいと思っていましたが、昨年から再上映の運動、英語版をつくり世界に広げる運動が進められてきました。おかげで、福島で再びヒバクシャを出してしまったこの夏に、三十七年ぶりに見ることができました。
 誓いも新たに、命と尊厳を脅かす理不尽なもの、核兵器も原発もゼロを目指して訴えています。ノーモア・ヒバクシャ。

        メルマガから転載させていただきました。

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